お灸の効果:わかっていることと、わかっていないこと
お灸の感じ方には個人差があります。お灸は、病気の治療の代わりにはなりません。気になる症状が続くときは、医療機関に相談してください。
このページの要点
- お灸は、肌を温める昔からのセルフケアです。「温かくて気持ちいい」と感じる人は多いようです。
- 研究では、いくつかの症状で効果が報告されていますが、もとの研究の質が低く、はっきりしたことは言えません。
- 「必ず治る」「驚くほど効く」といった言い方は、そのまま受け取らず、症状が続くときは医療機関に相談します。
お灸の効果として、よく言われていること
お灸は、もぐさの熱でツボのまわりを温める方法です。温めることで、体がゆるむ感じがする、冷えが気にならなくなる、気持ちが落ち着くといった感じ方が、よく挙げられます。肩や腰の重さが気になるときに使う人も多いようです。
こうした感じ方は、人によっても、その日の体調によっても違います。このサイトの症状別ガイドも、「〜に使われるツボ」という書き方にとどめています。
研究では、どう言われている?
お灸の効果を調べた研究は、世界にたくさんあります。その研究をまとめたレビュー(複数の研究をまとめて評価する論文)を、さらにまとめた論文があります。
- 論文: Lee MS, Kang JW, Ernst E. 「Does moxibustion work? An overview of systematic reviews」(BMC Research Notes, 2010年)
- 調べた内容: お灸についての10本のレビュー。対象は、がん、潰瘍性大腸炎、脳卒中のリハビリ、便秘、高血圧、痛み、逆子などでした。
- わかったこと: 結論がレビューごとに食い違う場合がありました。そのなかで、逆子については、比較的はっきりした効果の報告がありました。
- 著者らのまとめ: いくつかの症状で効果は示されたが、もとになった研究の質が低く、まだ大きな不確かさが残る、としています。
2010年の論文なので、それ以後に出た研究は含まれていません。研究はその後も続いています。
逆子のお灸は、妊娠中の医療にかかわる話です。自分で判断せず、必ず担当の医師や助産師に相談してください。
「すごい効果」と書かれた情報を見るとき
ネットや口コミには、お灸の効果を強く言い切るものもあります。次の点を見ておくと、落ち着いて読めます。
- 「治る」「必ず効く」と言い切っていないか: 体質や状態で結果は違うので、断定できる話ではありません。
- 病院に行かなくていいと勧めていないか: 症状の裏に病気が隠れていることもあります。
- 体験談だけが根拠になっていないか: 個人の感想は参考になりますが、ほかの人にも当てはまるとは限りません。
- もとの研究や出典が示されているか: 出典がわかる情報のほうが、確かめやすくなります。
期待しすぎず、続けやすい形で
お灸は、気持ちよく続けられる範囲で、無理なく取り入れるのが合っているようです。熱いときはがまんせず、すぐ外してください。回数や時間は、製品の説明書に従います。
はじめて使うときは、お灸の使い方とツボ一覧とよくある質問が役に立ちます。気になる症状があれば、症状別ガイドに、ツボの位置と、受診したほうがよい目安をまとめています。
出典
- Lee MS, Kang JW, Ernst E. Does moxibustion work? An overview of systematic reviews. BMC Research Notes 2010; 3:284. 論文のページ(英語)